
使えば使うほど味が出てくるのが革製品の良いところで、新品にはない魅力が増してきます。長年使いこんだレトロな革のブーツは、革が柔らかくなって色合いを深め素敵ですよね。
そんな新品にはない魅力こそが「エイジング」なのです。
エイジングとは時間を経て革の見た目や状態が変化することで、持ち主の履き方やお手入れと時間の経過が加わって深みを出します。
古くなっても「それはそれで良い」のは革製品ならではの特徴です。
エイジング方法は、用意するものからエイジングの仕方を詳しく解説。
また、ブーツを柔らかくする方法やおすすめのオイルなども紹介していますので、エイジングの参考にしてみてください。
持ち主と一緒に年月を重ね育っていく、ブーツのエイジングを楽しみましょう。
ブーツのエイジングをおすすめ

使えば使うほど革に味が出るように、ブーツのエイジングをしましょう。
革のブーツは、正しいエイジング方法を続けることで、どんどん深みを増しかっこよく変化します。
何とも言えない魅力です。
かっこいい深みが出せるブーツのエイジング方法を紹介します。
用意するもの
まずは、ブーツのエイジングで用意するものを紹介します。
【用意するもの】
- 馬毛ブラシ
- 歯ブラシ
- 柔らかい布
- ステインリムーバー(革専用の汚れ落とし)
- 革用オイル(クリーム状のオイル)または、保革専用クリーム
- 乾いたタオル
- 革専用の除菌消臭スプレー
【用意するもの(スエード素材)】
- スエード用ブラシ
- ステインリムーバー(革専用汚れ落とし)
- 新聞紙
- 革専用除菌消臭スプレー
エイジング方法
次に、ブーツのエイジング方法を紹介します。
【エイジング方法】
- ① 靴ひもを外す(バックルが付いている場合は全て取り外してください。)
- ② 馬毛ブラシでホコリや泥などの汚れを落とす(シュータンとアッパー部分の継ぎ目に汚れが溜まりやすいのでしっかり落としましょう。)
- ③ ステインリムーバーを柔らかい布にしみこませる
- ④ ブーツ全体をきれいに拭き取る(ステインリムーバーできれいに拭くことでクリームやオイルの浸透を良くします。)
- ⑤ ひどい汚れの場合は、固く絞ったぞうきんで水拭きする(水洗いは革を痛めるのでおすすめしません。)
- ⑥ オイルもしくはクリームを柔らかい布に少量取る(柔らかい布を指先に巻くようにすると使いやすいですよ。)
- ⑦ 薄く広くムラができないように全体に塗る(塗りすぎるとべたつくためできるだけ少量にします。)
- ⑧ 1時間~半日おく(オイルを浸透させるため)
- ⑨ 馬毛ブラシでブラッシングする
- ⑩ 乾いたタオルなどで浮いている余分なオイルを乾拭きしつやを出す(シュータンや縫い目、ソールとの間や裏やすき間などもしっかりと拭き取りましょう。)
- ⑪ 革専用の除菌消臭スプレーを内部と靴底に吹き付ける
- ⑫ 風通しの良い場所で1日程度陰干しする(湿気のある場所に保管するとカビの原因になるため、風を通すなど十分な換気が必要です。)
【スエード素材のエイジング方法】
- ① ブーツの中に丸めた新聞紙を入れておく(そうすることでブーツのシワが伸びてブラッシングしやすくなります。)
- ② スエード用ブラシで表面の汚れやホコリを除去する
- ③ ステインリムーバーでヒール周りや靴底の汚れを拭き取る
- ④ 革用除菌消臭スプレーを靴の内側と靴底に吹き付ける
- ⑤ 最後に陰干しして乾燥させたら完成!
ムートンブーツは、スエード素材と同様のケア方法です。
ケアすることでブーツは長持ちするので、お気に入りのブーツがある方はぜひ試してくださいね。
エイジングの頻度
ブーツのエイジングは、どのくらいの頻度で行えばよいのでしょうか。
エイジングの頻度について解説します。
- 年に3~4回
- 履いた都度軽く汚れは落とす
それでは、詳しく見ていきましょう。
年に3~4回
エイジングの頻度は、年に3〜4回を目安に行ってください。
年に3〜4回ケアを行うだけで、ブーツの劣化は遅らせることが可能です。また、頻繁にブーツを履く場合は、なるべく短いスパンでケアすることをおすすめします。
あまり履かない場合は、リムーバーは半年に1回、栄養クリームは3〜4ヵ月に1回程度が目安です。
頻繁に履く場合は、リムーバーは2〜3ヵ月に軽く1回、栄養クリームは2ヵ月に1回程度が目安になります。
履いた都度軽く汚れは落とす
最も効果的なのは、履いた都度軽く汚れを落とすことです。
毎日履いたあとに、ブラシでブーツに付着した汚れやほこりを軽くブラッシングします。
このひと手間をするだけで、ブーツの寿命は大きく伸びますよ。
「ブーツを履いたあとは必ずブラッシングする」を習慣化することをおすすめします。
毎日のブラッシングの際は、毎回クリームやリムーバーを使う必要はありません。
むしろ、毎回使うとかえって革にダメージを与え、劣化の促進に繋がることもあります。
革のブーツは、年に3〜4回を目安に適度にケアしましょう。
ブーツのエイジングのコツ
ブーツのエイジングのコツは以下の通りです。
- オイルはムラなく塗る
- 縫い目やソールのすき間も塗る
- 履き終わったら陰干しする
これらのステップを踏むことで、ブーツはより長持ちし、美しいエイジングを実現します。特に、オイルの適切な使用と陰干しは、革を健康的に保つ上で欠かせない要素です。
オイルはムラなく塗る
ブーツのエイジングにおいて最も重要なのは、オイルをムラなく塗ることです。
これにより、革が均一に栄養を吸収し、全体的に美しいエイジングを達成できます。オイルは少量ずつ手に取り、革の表面に薄く均一に広げることがポイント。特に、革が乾燥している部分には少し多めに塗り、全体にバランスよくケアを行います。
縫い目やソールのすき間も塗る
ブーツの縫い目やソールの隙間も、オイルでしっかりとケアすることが大切です。
これらの部分は見落としがちですが、エイジングの美しさを左右する重要なポイントになります。縫い目や隙間には、ブラシや細い布を使いオイルを丁寧に塗り込むようにしましょう。これにより、革が柔軟に保たれ、縫い目のほつれなどのトラブルを防ぐことができます。
履き終わったら陰干しする
履き終わったブーツは、必ず陰干しをします。
これにより、革の内部に溜まった湿気を効果的に放出し、カビや悪臭の発生を防ぎます。直射日光や暖房器具の近くでの乾燥は避け、風通しの良い場所で自然乾燥させるのがベストです。陰干しを行うことで、革の質感を保ちながら、長期間にわたってブーツを快適に使用することが可能になります。
ブーツのエイジングの注意点
ブーツのエイジングの注意点は、以下のような事があげられます。
- 水洗いや水拭きは避ける
- キズや汚れを味に変える
- 定期的な修理やソール交換をする
- 過度なオイル塗りは避ける
- 雨や雪の日は履かない
- 直射日光は避ける
これらの注意点を守ることで、ブーツの長寿命化と美しいエイジングを実現できます。
水洗いや水拭きは避ける
水洗いや水拭きは革製ブーツにとって避けるべきです。
水分は革の油分を奪い、乾燥や割れを引き起こす原因となります。汚れは乾燥した布やブラシで優しく落とし、必要な場合は革用クリーナーを少量使用しましょう。革製品を長持ちさせるためには、適切なケアが不可欠です。
キズや汚れを味に変える
ブーツにつくキズや汚れは時間と共にその魅力を増します。
これらはブーツの個性と歴史を形成し、独特の風合いを生み出す要素です。新品の完璧さを求めるのではなく、エイジングとしてこれらの変化を楽しむことが大切です。キズや汚れをブーツの物語として受け入れましょう。
定期的な修理やソール交換をする
ソールは使用により摩耗しやすいため、適切なタイミングでの交換が必要です。
また、縫い目のほつれや革の小さな裂け目など、早期に修理することで大きなダメージに発展するのを防ぎます。定期的なケアとメンテナンスにより、ブーツはより長く快適に使用できるようになります。
過度なオイル塗りは避ける
オイルは革のエイジングにおいて重要な役割を果たしますが、過度な使用は逆効果になることがあります。
適切な量のオイルを使用することで、革は必要な栄養を得て柔軟性を保ちますが、過多になると革が柔らかくなりすぎ、形崩れや油ジミの原因となり得ます。オイルの使用は、革の種類と状態を考慮し、節度を持って行うことが大切です。
雨や雪の日は履かない
雨や雪の日にブーツを履くことは、革にとって最も過酷な状況の一つです。
水分は革を劣化させ、長期的に見てエイジングプロセスに悪影響を及ぼします。悪天候の日は、可能であれば防水性の高い別の靴を選択し、ブーツを守ることを優先しましょう。
直射日光は避ける
直射日光は、革製品にとって大きなリスクです。
長時間の日光露出は、革の退色や乾燥、硬化を引き起こし、エイジングの美しさを損なう可能性があります。ブーツを保管する際は、直射日光の当たらない涼しい場所を選び、革製品の健康を長期にわたって保つように心がけましょう。
ブーツのエイジングのメリットとデメリット
ブーツのエイジングは、長期間にわたり革製品を使用する魅力の一つですが、メリットとデメリットの両面があります。
エイジングを通じてブーツに独自の風合いを与える一方で、過度なエイジングはブーツの寿命を縮める可能性もあります。正しいケアとメンテナンスが、エイジングの成功の鍵です。
メリット
ブーツのエイジングのメリットは以下です。
- 個性が出る:長期間使用することでブーツには独特の風合いと歴史が宿る
- 美しさが増す:適切なエイジングは革の深みと複雑さを引き出し見た目の美しさを増す
- 愛着がわく: 自分だけのエイジングパターンが形成されるためブーツへの愛着が深まる
デメリット
ブーツのエイジングのデメリットは以下です。
- 手入れが必要:エイジングを美しく保つには定期的なメンテナンスと適切なケアが必要
- 修理が必要になることも:過度なエイジングは修理が必要になることもあり追加コストがかかる可能性ある
- 見た目が好みでない場合も:個々の好みによってはエイジングされた見た目が好きでないこともある
ブーツの購入後すぐは手入れはしない
革のブーツの購入後すぐは手入れをしない方が良い理由を紹介します。
それでは、購入後すぐは手入れをしない方が良い理由を見ていきましょう。
ひび割れの原因になる
リムーバーやクリームなどの塗りすぎは、革の栄養過多になり、ひび割れの原因になる可能性があります。
購入後すぐのブーツはあらかじめ保湿クリームなどが塗られている状態です。
クリームを塗りすぎると、逆に汚れや劣化の原因になるため注意が必要。
お手入れをしなさすぎもいけませんが、お手入れのし過ぎも問題が出てくるのです。
購入後すぐはクリームを塗るようなお手入れではなく、ブラッシングをする程度にしておきましょう。
革のコシがなくなる
革のブーツの購入後すぐの手入れは、革のコシがなくなる原因にもなります。
こちらも革の栄養過多が原因です。
革に油脂が浸透し過ぎると、柔らかくなり過ぎて形が崩れてしまう場合があります。
購入後すぐは、オイルやクリームのお手入れは控えて、ブラッシングと乾拭き程度にしましょう。
毎日のブラッシングを習慣化すると汚れの付着も少なく済みますよ。
ブーツを柔らかくする方法
ブーツを柔らかくする方法を紹介します。
- 足に当たる部分にオイルを塗る
- デリケートクリームでも一時的に柔らかくなる
履き始めのブーツはどうしても硬い状態です。
履き続ければ柔らかくなるようですが、できれば早く柔らかくしたいですよね。
それでは、革のブーツを柔らかくする方法を見ていきましょう。
足に当たる部分にオイルを塗る
足に当たる部分にオイルを塗りましょう。
オイルは、革を柔らかくする効果があるため、足に当たって痛い部分に塗ることで革を柔らかくできます。
- ① 少量のオイルを指にとる
- ② 足に当たる部分にオイルを塗る(塗りすぎないように気を付けましょう。)
- ③ 乾拭きをする
使用するオイルは、ミンクオイルがおすすめです。
デリケートクリームでも一時的に柔らかくなる
ブーツを柔らかくしたい場合は、デリケートクリームでも一時的に柔らかくすることができます。
デリケートクリームとは、革に潤いを補給するクリームのことです。
デリケートクリームの成分に油分が含まれているため、革を柔らかくする効果があります。
しかし、デリケートクリームの革を柔軟に保つ効果は、水分を保っているわずかな間だけです。
デリケートクリームは、スエードやヌバックレザーのような起毛革に使えないものが多いので注意してください。
ブーツにおすすめのオイル
ブーツにおすすめのオイルを紹介します。
- レッドウィング純正のミンクオイル
- ロンブスのミンクオイル
- タラゴのミンクオイル
革のブーツのケアに欠かすことができないのはオイルです。
オイルの効果を以下にまとめました。
- 革につやが出る
- 革の表面が柔らかく滑らかになる
- 乾燥によるカサつきがなくなる
革のブーツのケアに欠かすことができないオイルですが、どんなオイルが良いのでしょうか。
ブーツにおすすめのオイルを見ていきましょう。
レッドウィング純正のミンクオイル
革のブーツにおすすめのオイルは「レッドウィング純正のミンクオイル」です。
レッドウィング純正のミンクオイルは、ミンクの油を中心に鉱物オイルなど配合した伝統的な固形オイル。
革靴と言えば「レッドウィング純正のミンクオイル」と言われるほど、定番中の定番です。
- 革に栄養を与える
- 革を柔らかくする
- 防水性を高める
レッドウィング純正のミンクオイルは、上記のような効果があります。
有名なレッドウィング製なので安心感がありますね。
シリコンとラノリンの配合で高い防水効果があり評判もかなり良いミンクオイルです。
どれを使えばよいのかわからない方は、まず「レッドウィング純正のミンクオイル」を使ってみてください。
コロンブスのミンクオイル
次におすすめするオイルは「コロンブスのミンクオイル」です。
コロンブスのミンクオイルは、動物性の油脂なので革との相性がよく、高い浸透性と保湿効果が期待できます。
長年の販売実績があるミンクオイルなので安心ですね。
また、レッドウィング純正のミンクオイルに比べると、価格が安価なのが嬉しいところです。
少しべたつく感じがするので、しっかり拭き取る必要があります。
お手入れに慣れている方や、カッコよくエイジングさせたい方におすすめのミンクオイルです。
タラゴのミンクオイル
「タラゴのミンクオイル」もブーツにおすすめのオイルです。
タラゴのミンクオイルは、ミンクオイルの栄養効果とワセリンの保湿効果で、革製品をしっとり柔らかくし防水効果も期待できます。
ロウを使用していないため、不要な光沢がなくしっとりと自然な仕上がり。
無臭タイプなのでブーツの使用にも適しており、冬でも固まらず伸ばしやすいのが特徴です。
スペインのシューケアブランド 「TARRAGO」の製品なので安心して使えます。
ブーツのエイジングに適した革の種類と選び方
ブーツのエイジングを成功させるためには、適切な革の選択が重要です。
オイルドレザー、ラフアウトレザー、ホースバットは、エイジングに特に適した素材であり、それぞれが独自の風合いとエイジングの過程を提供します。
これらの革の特性を理解し、自分のライフスタイルや好みに合わせて選ぶことで、エイジングを楽しむことができます。
オイルドレザー
オイルドレザーは、油分を多く含むことで知られ、柔軟性と耐水性に優れています。
このタイプの革は、使うほどに手になじみ、深い色合いと美しい光沢を発展させます。エイジングプロセス中、革が自然に展開する独特のパターンが魅力的であり、長期間の使用によって個性が際立つブーツになります。
ラフアウトレザー
ラフアウトレザーは、革の裏側を外側に使用した素材で、独特の質感と耐久性が特徴です。
この革は時間とともに自然なエイジングが進み、使い込むほどに柔らかくなり、個性的な風合いを増していきます。ラフアウトレザーは、粗野な見た目が魅力で、カジュアルなスタイルに特に適しています。
ホースバット
ホースバットは、馬のお尻の部分から採取される革で、非常に密度が高く耐久性に優れています。
この革は、エイジングによって美しい艶と深みのある色合いを発揮し、独特のエレガントな風合いを楽しむことができます。ホースバットは、上品でクラシックなスタイルを好む人に特に推奨されます。
自分で難しい場合はプロにケアを頼もう
革のブーツのお手入れですが、自分で難しい場合は無理をせず、プロにケアを頼むことをおすすめします。
ブラッシングやリムーバーでは取れないような頑固な汚れを、無理に落とそうとすることはトラブルの元です。
今では、靴の宅配クリーニングなど家に居ながら依頼することが可能ですよ。
ブーツを履かない期間は保管してくれるところもあり、かなり便利になっています。
大切な革のブーツが汚れてしまったら、プロに任せてしまいましょう。
ブーツのエイジングをおすすめのまとめ
使えば使うほど革に味が出るように、ブーツのエイジングをしましょう。
かっこいい深みが出せるブーツのエイジング方法を紹介します。
【用意するもの】
- 馬毛ブラシ
- 歯ブラシ
- 柔らかい布
- ステインリムーバー(革専用の汚れ落とし)
- 革用オイル(クリーム状のオイル)または、保革専用クリーム
- 乾いたタオル
- 革専用の除菌消臭スプレー
【エイジング方法】
- ① 靴ひもやバックルが付いている場合は全て取りはずす
- ② ブラシでホコリや泥などの汚れを落とす
- ③ ステインリムーバーを柔らかい布にしみこませる
- ④ ブーツ全体をきれいに拭き取る
- ⑤ ひどい汚れの場合は、固く絞ったぞうきんで水拭きする
- ⑥ オイルもしくはクリームを柔らかい布に少量取る
- ⑦ 薄く広くムラができないように全体に塗る
- ⑧ 1時間~半日おく(オイルを浸透させるため)
- ⑨ 馬毛ブラシでブラッシングする
- ⑩ 乾いたタオルなどで浮いている余分なオイルを乾拭きしつやを出す
- ⑪ 革専用の除菌消臭スプレーを内部と靴底に吹き付ける⑫ 風通しの良い場所で1日程度陰干しする
革のブーツは、手入れもせずに履いているだけではエイジングを楽しむことはできません。
手入れをしていなければ、艶もなくなり劣化していくだけです。
革のブーツは、大切に扱うと30年以上ずっと履き続けることができ、新品にはない深みと魅力が増してきます。

持ち主と一緒に年月を重ね育っていく「エイジング」をゆっくりと楽しんでください。
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