革靴の関税でイギリスの場合!関税率を下げる方法!申告例文も紹介!

革靴好きにとってイギリス靴は憧れです。正統派でシンプルでありながら、しっかりと重厚感も感じられるデザインは、他国の革靴にはない魅力があります。気になるイギリスブランドの革靴を思い切って輸入したいけど、関税が怖い…。そう考えて諦めてしまう人は少なくないでしょう。

革靴を輸入する際の関税は高いことで有名ですが、ある仕組みを利用することでグッと関税率を下げることが可能です。諦めていた憧れのイギリス靴を、高額な関税を恐れることなく手に入れることができるのです。

今回は、革靴の関税でイギリスの場合について紹介します。

革靴の関税でイギリスの場合

イギリスから革靴を輸入する際の関税率は、「商品価格の30%」または「一足当たり4300円」このどちらかの高い方です。

革靴だけでなく、革が使われた製品全般は、様々な品目の中でも特に関税が高いです。

革靴自体の値段は安くても、高い関税がかかるため「日本で買えばよかった…」と後悔してしまう場合もあります。

革靴に一万円以下免税ルールは適用される?

革靴には、一万円以下免税ルールは適用されません。

一万円以下免税ルールとは、輸入する商品の合計金額が一万円以下の場合に関税・消費税を免税輸入できる仕組みです。

革靴はこのルールから除外されることになっています。また革靴だけでなく、革製品は全て除外品となっています。

ただし、日英EPAを利用することで革靴の関税率を下げることが可能です。

日英EPAの利用条件

日英EPAとは、国と国との市場を開放し、互いの経済発展を進める仕組みです。

前述の通り、日英EPAを利用することで革靴の関税率を下げることができますが、利用するにあたって、ある3つの条件が満たされている必要があります。

その条件は以下の通りです。

  • 特恵税率が設定されている
  • 原産品であると認められている
  • 輸入申告時に必要な手続きを行う

では、これらの条件について順に解説していきます。

特恵税率が設定されている

まず一つ目の条件は、輸入を予定している貨物の品目にEPAの特恵税率が設定されていることです。

特恵税率とは、特定の国からの輸入品に対して、一般の関税率より低く設定された税率です。

特恵税率が設定されているかどうかは、税関のホームページで確認することが可能です。

物品毎にHS番号という世界共通の6桁の番号が設定されているので、そのHS番号から「実行関税率表」で確認できます。

原産品であると認められている

二つ目の条件は、原産品であると認められていることです。

原産品であると認められるためには、輸入する貨物が下記のいずれかに該当することが必要となります。

完全生産品…日英EPA第3・3条に定めるところにより、締約国において完全に得られる、または生産される植物・動物などのことです。
原産材料のみから生産された商品…日英EPA上のEU原産品を材料とし、他の産品の生産に使用する場合は「原産材料」となります。
品目別原産地規則を満たす産品…日英EPAの原産品ではない産品を材料として使用している場合は「非減産材料」となります。

品目別原産規則を満たさない場合でも、累積・許容限度の規定を満たせば、原産品と認められます。

輸入申告時に必要な手続きを行う

3つ目の条件は、輸入申告時に必要な手続きを行うことです。

特恵待遇を要求する際には、原産品申告書と、貨物が日英EPAの用件を満たしていることを明らかにする書類(原産品申告明細書)を、税関へ提出することが原則です。

原産品申告書とは、輸出者又は生産者による原産地に関する申告書の「輸出者自己申告」と、輸入者の知識に基づく原産品申告書である「輸入者自己申告」、この二種の申告書のことを指します。

原産品申告明細書は、輸入者が提供可能な範囲内で追加的に提出することが原則必要となっています。

日英EPAを利用する際の主な流れ

日英EPAを利用する際の主な流れは、前述した日英EPAの利用条件を全て満たし、それに加えて積送基準を満たしていることも必要となります。

積送基準とは、イギリスの原産品が日本に到着するまでの間に、原産品としての資格をうしなっていないか判断する基準のことです。

イギリスからの輸出後・輸入申告の前に、貨物を良好な状態に保存するために必要な工程以外行うことは認められていません。

原産品申告書の作成方法と例文

原産品申告書には、前述の通り「輸出者自己申告」と「輸入者自己申告」の二つの申告書があります。どちらも日英EPAを利用する際には原則必要となります。

ここでは、二種類の原産品申告書の作成方法と例文を紹介していきます。

輸出者自己申告

輸出者自己申告は、イギリスに所在する輸出者・生産者が、産品が原産品であることを示す情報を、「原産地に関する申告文(付属書3-D)」に記載することにより作成します。

申告書の記入手順は以下の通りです。

期間…同一の原産品を12カ月の間に2回以上輸送のために作成する場合は、申告が適用される期間を記載します。そのような期間の適用がない場合は空欄で問題ありません。

輸出者参照番号…イギリス側の輸出者の場合は、「REX Number」と呼ばれる番号が原則記載されます。

産品の原産地…「the European Union」と記載します。

用いられた原産性の基準…場合に応じて、以下の記号を記載します。

A:完全生産品 B:原産材料のみから生産される商品
C:品目別原産地規則を満たす産品 D:累積 E:許容限度

※Cの場合には、実際に適用する品目別原産地規則に応じ、以下の数字を追加記載します。
1:関税分類変更基準 2:付加価値基準 3:加工工程基準

場所及び日付…文書に含まれる場合には省略します。

輸入者自己申告

輸入者自己申告は、輸入を予定している貨物が原産品であることについて、輸入者が保有している情報に基づき申告することが原則となっている原産品申告書です。

輸入者自己申告における原産品申告書は、任意様式となっています。税関ホームページに掲載されている様式見本を利用することが可能です。

記入例は以下の通りです。

産品の概要…対象となる貨物と関連付けるために保有している情報を十分に記載します。
適用する原産性の基準…輸出者自己申告記入手順④と同じく、場合に応じて記号を記載します。
包括的な期間…輸出者自己申告記入手順①と同じく、同一産品を12カ月に2回以上輸送する場合のみ、特定の期間を記載します。
作成者の氏名又は名称・住所又は居所…輸入者の氏名又は名称・住所又は居所を記載します。
代理人の氏名又は名称・住所又は居所…本原産品申告書の作成を委託する場合は、依頼された者の氏名又は名称・住所又は居所を記載します。

原産品申告書の提出を省略できるケース

課税価格が20万円以下の場合は、原産品申告書の提出を省略できます。

輸出者自己申告・輸入者自己申告どちらの場合においても、提出する必要はありません。またこの場合には当然、輸入者が原産品申告明細書の提出もする必要はありません。

まとめ

今回は、革靴の関税でイギリスの場合について解説していきました。

革靴を輸入する場合の関税率は、「商品価格の30%」または「一足当たり4300円」このどちらかの高い方となっています。

革靴の関税は高いことで知られていますが、日英EPAを利用することによって関税率を下げることが可能です。

日英EPAを利用するための条件と流れは、以下の通りです。

  • 特恵税率が設定されていること
  • 原産品であると認められていること
  • 輸入申告時に必要な手続きを行う
  • 積送基準が満たされている

輸出者・輸入者共に原産品申告書を税関に提出することが原則となっていますが、課税価格が20万円以下の場合はどちらの場合でも提出をする必要はありません。

革靴の関税は非常に高いので、少しでも関税率を下げたい場合は日英EPAの利用を検討しましょう。

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